日曜日, 4月 19, 2009

飛行機おじさん



 紙飛行機を飛ばしているおじさんがいました。しばらくしてサクラの木を見上げているので、どうしたのか聞いたら、「飛行機を枝に引っ掛けてしまった」とのこと。手作りの飛行機で2時間もかけて作り「よく飛ぶんだよ」と諦めきれない様子。
 見上げると枝に引っかかっているのが見える。

 「登って取ったら」と私。桜の幹は触るとごつごつと痛そう。家にある樺細工の茶筒などは磨かれてすべすべしているが、原木はそうはいかない。
 「僕も登ろうかなと思っていたところだよ」と言って、見ている前で登り始めた。途中で止まっているので「もう少し先ですよ」と私が言うと、「これより先は無理」と言いながら降りてきた。
 「2メートルくらいの棒か何かあると良いのだけれど」と辺りを見回すが、何も無い。「探してくるよ」と松林の方に歩いてゆく。


 私はどうしようか迷ったが、見捨てて帰るわけにもいかず待つことにした。
 しばらくすると、枯れ枝を持って帰ってきた。再び登り、無事飛行機は持ち主の元へ戻った。
 飛行機は紙ではなく木でできている。特殊な木らしく紙のように軽い。紙やすりで形を整えボンドで接着してある。よく飛ぶんだよと言いながら飛ばして見せてくれた。

 
 絵を描くんだよと言いながら携帯電話の映像で作品を見せてくれた。舞妓さんをモデルにした油絵、カップの鉛筆デッサンなど。プロ(?)並みですばらしかった。最後に「歳は僕と同じくらいかな、僕はーー歳だけど」そのおじさんは私より10歳も若かった。私は人を見る目が無い。判断できないのだ。でもそんなに若いとは思わなかった。
 「僕の10年後もおばさん(私のこと)みたいに元気でいられると思うと嬉しいよ」と笑顔をみせた。
 
 このブログを見て、妹に又言われてしまう「見ず知らずの人と話をしてはだめ、世の中良い人ばかりじゃないのだから」。こういうときは姉妹が逆転していつも諭されるのは私なのです。

1 件のコメント:

ちょろ さんのコメント...

何だかすごーく良い話。
今の世の中物騒だけど・・・捨てたものじゃないですよね。
飛行機おじさんとの話、温かくなります。
桜の写真も飛行機の写真も温かい!ホッとします。